ホーム > 虐待を受けた子どもが住む「心の世界」

虐待を受けた子どもが住む「心の世界」

養育の難しい里子を抱える里親たち

虐待を受けた子どもが住む「心の世界」

里親を対象に行った全国調査をもとに、実親からの虐待経験や、発達障害のある里子の「心の世界」に迫る。

著者 深谷 昌志
深谷 和子
青葉 紘宇
ジャンル 福祉 > 社会的養護
出版年月日 2016/12/05
ISBN 9784571420610
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 本体3,800円+税
 

目次

序章 イントロダクション――子ども虐待とそれをする親たち【深谷昌志・深谷和子】
 1.子ども虐待の件数の増加
 2.虐待されやすい子――発達に偏りのある子どもの存在
  [1]発達の偏り(発達障害)をめぐって
  [2]子ども虐待の専門外来の資料から
  [3]発達に偏りをもつ子の出現率――文科省調査から
  [4]「育てるのが難しい子ども」の増加
 3.子どもを虐待する親たちの背景――子育てにつまずく人々
  [1]家族サイズの縮小――周囲に人の目とかかわる人のいない環境での育児
  [2]「親性(おやせい)」(養育性)の乏しい(母)親
  [3]自分自身が抱える問題で精一杯の(母)親
  [4]各種の障害や著しい文化的偏りをもつ(母)親
 4.虐待されている子の発見とそれへの対応
  [1]多くの目による早期の発見と関係者と関係機関の連携・協力
  [2]「心に寄り添う」支援――虐待された子どもとかかわる際に

1章 里親と里子のプロフィール【深谷昌志・深谷和子】
 1.全国里親アンケート調査の概要
 2.里親という名の人々
  [1]委託開始年齢と家族構成
  [2]里親の養育歴
  [3]里親を志願した動機
  [4]里子を育てる難しさ
  [5]養育返上を考えたこと
 3.里子とはどんな子か(抽出児=Aちゃん)
  [1]年齢と学校段階
  [2]それまで里子のいた環境
  [3]学校適応
  [4]虐待の有無
  [5]対人関係を築く力とその発達の偏り

2章 里親の養育困難の日々――里親の疲労、虐待の跡と発達障害【深谷和子】
 1.養育の難しい里子を抱えた里親の精神的・身体的疲労(ワークストレス)
 2.里子の中にある問題と養育困難
  [1]虐待と養育困難
  [2]学業成績と養育困難
  [3]LDに近い傾向と養育困難
  [4]「人間関係の不器用さ」と養育困難
  [5]「人の気持ちへの鈍感さ」と養育困難
  [6]「不安定性」(やや大きな性格の偏り)と養育困難
 3.養育困難と里子のそれまでの環境

3章 戸惑う里子たち――里親の家に来たときの子どもの姿【深谷和子】
 はじめに
  [1]里子文化の違い
  [2]ミオよ わたしのミオ
  [3]里子の「内的な世界」への接近
 1.戸惑いの中にいる里子の姿――21件の事例から
  [1]退行(赤ちゃん返り)――乳を探る、赤ちゃん言葉を使う、「だっこ」をせがむ、わがままにふるまう
  [2]探索と反発(試し行動)――いらだち、暴れる、反抗
 2.里親が「ふつうの子には考えられない」とした里子の行動――81件の事例から
  [1]デタッチメント
  [2]生活体験の欠損
  [3]反抗・暴力・混乱
  [4]非行・不道徳
  [5]不連続・不安定・ムラ
  [6]心を閉ざす・独り言・固まる・別世界に入る
  [7]ルーズ・無気力・自立性のなさ
  [8]まとめ

4章 虐待を受けた子が住む「心の世界」――里親が子どもの上に見た虐待の影【深谷和子】
 1.子どもの「心の世界」に接近することの難しさ
 2.アンケート項目の解説
  [1]マーク等の解説
 3.里子が住む心の世界――102件の事例から
  [1]里子を包む「不安と恐怖」――現実の脅威、記憶の中の脅威
  [2]不安から逃れるために――外に向かっての攻撃、スキンシップを求める、自分を閉ざして内にこもる
  [3]心の裡と欲求――いらだち、羨望、助けてほしい、死にたい
  [4]いつまでも消えない不安
  [5]「自分は世界から大切に思われていない」――まとめに代えて

5章 「心の通じ合い」――里子の養育を支える要因【深谷和子】
 1.養育返上を考えた里親
 2.気持ちの通じ合いをめぐって
 3.里子養育に破綻しかけている人々
 4.気持ちの通じ合いを阻むもの
 5.「傾聴」による支援
  [1]『窓ぎわのトットちゃん』から
  [2]「あなたは大切な人」というメッセージ
  [3]「関係」の成立
 6.養育のつまずきを乗り越えさせるもの

6章 養育返上を考える【青葉紘宇】
 1.行政統計から見た里親子不調
  [1]児童相談所のデータによる不調
  [2]厚労省福祉課データによる不調
 2.不調について考える
  [1]不調の意味
  [2]里親子の相性
  [3]不調への対応
 3.不調事例から考える

7章 児童養護施設職員が望む「子育て支援」――全国「児童養護施設」調査から指導員の声を拾う【深谷昌志】
 はじめに
 1.児童養護施設で働く人たちの状況
  [1]児童養護施設調査の枠組み
  [2]施設職員の状況
  [3]施設の人手不足と過労
 2.児童養護施設で働く人々の声
  [1]扱いの困難な子どもが増えた
  [2]扱いの難しい子との対応に疲労困憊
  [3]扱いの難しい子の接し方に求められるもの
  [4]人材が集まらない
 3.子育て支援員制度との関連
  [1]子育て支援員に望むこと
  [2]子育て支援員に託したいこと
  [3]里親と児童養護施設の協力体制を築く

終章 里親をしてよかったか【深谷昌志・深谷和子・青葉紘宇】
 1.実親との交流のない里子たち
 2.親権か、子どものウエルビーイングか
 3.里子との18歳以降の関係
 4.週末里親――里子、里親にたくさんのゲストハウスを
 5.また里子を預かりたいか
 6.里親をしてよかった!
 7.まとめ――里親への「子育て支援」のために

【付録資料】※弊社「データのダウンロード」ページ、または、当ページ「内容説明」欄にて下記資料データを入手できます
 1.第2回全国里親調査:調査票
 2.第2回全国里親調査1:集計表(度数)
 3.第2回全国里親調査2:集計表(構成比)


[著者略歴]※初版刊行時のものです
深谷昌志(ふかや・まさし)
東京成徳大学名誉教授(教育社会学専攻)。奈良教育大学教授、放送大学教授、静岡大学教授、東京成徳大学教授を経て現職。

深谷和子(ふかや・かずこ)
東京学芸大学名誉教授(児童臨床心理学専攻)。筑波大学教育相談研究施設助手、東京学芸大学教授、東京成徳大学教授を経て現職。

青葉紘宇(あおば・こうう)
里親、社会福祉士。少年院教官、障害者施設、児童相談所を経て、NPO法人「東京養育家庭の会」理事長、NPO法人「こどもの地域生活サポーターこぴあ」理事長。

このページのトップへ

内容説明

里親を対象に行った全国調査をもとに、実親からの虐待経験や、発達障害のある里子の「心の世界」に迫る。教育社会学、児童臨床心理学、社会的養護の専門家による共同企画第2弾。

付録資料(調査票・集計表[度数/構成比]) ダウンロード

このページのトップへ

関連書籍

社会的養護における里親問題への実証的研究

社会的養護における里親問題への実証的研究

養育里親全国調査から、里親のあり方を問う

著者:深谷 昌志 編著
深谷 和子 編著
青葉 紘宇 編著
 
 

このページのトップへ