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ヴィゴーツキーの生きた時代[19世紀末~1930年代]のロシア・ソビエト心理学  新刊

ヴィゴーツキーを補助線にその意味を読み解く

ヴィゴーツキーの生きた時代[19世紀末~1930年代]のロシア・ソビエト心理学

激動の革命期におけるロシア・ソビエトの心理学の動向を、天才心理学者の理論と対比することで浮き彫りにする。

著者 中村 和夫
ジャンル 心理 > 発達心理
出版年月日 2018/09/05
ISBN 9784571230585
判型・ページ数 A5・300ページ
定価 本体5,000円+税
 

目次

ギャラリー

第Ⅰ部 10月革命前の争乱期におけるロシアの心理学
 第1章 革命前の社会的、政治的な状況
  (1)2月革命から10月革命への流れ
  (2)10月革命に至る政治勢力の錯綜と対立
  (3)その後
 第2章 革命前の心理学の状況
  (1)経験的心理学
   ①グロート
   ②チェルパーノフ
   ③ネチャーエフ
  (2)哲学的心理学
   ①ロパーチン
   ②ヴヴェヂェーンスキー
   ③フランク
   ④ロースキー
  (3)自然科学的心理学
   ①セーチェノフ
   ②パーヴロフ
   ③ベーフテレフ
   ④ヴァーグネル
   ⑤ランゲ
 第3章 同時代の日本との比較と日本での受けとめ
  (1)日本での実験心理学の移植と整備
  (2)日本とロシアの心理学の事情の比較
   ①精神分析
   ②ヴュルツブルク学派
   ③ゲシュタルト心理学
   ④行動主義
  (3)ロシアの心理学への関心度
   ①野上俊夫のモスクワ大学附属心理学研究所参観記
   ②阿部重孝の「露西亞の實驗教育界」の紹介
   ③黒田源次の「パヴロフの條件反射研究法に就て」

第Ⅱ部 10月革命後~スターリン独裁の成立期(1917~1930年代)におけるソビエト心理学
 第4章 革命後~スターリン独裁の成立期の社会的、政治的な状況
  (1)内戦と干渉戦争
  (2)新経済政策(ネップ)
  (3)重工業化の優先と農業の全面的集団化
  (4)矛盾の中での新しい国家建設への期待
  (5)スターリン独裁体制の成立
 第5章 革命後~スターリン独裁の成立期の心理学の状況
  第1節 マルクス主義心理学とは何か──その方法論的・哲学的要請
  (1)『唯物論と経験批判論』
   ①経験一元論に対して
   ②経験象徴論に対して
   ③「知ることのできない物自体」に対して
   ④宗教的無神論に対して
  (2)『カール・マルクス』
   ①レーニンの弁証法理解
   ②弁証法の共通の運動法則
  第2節 心理学批判の状況
  (1)哲学的心理学・宗教的心理学の追放
   ①カルサーヴィン
   ②イリイーン
   ③ベルジャーエフ
  (2)経験的心理学への批判
  (3)行動の心理学、自然科学的心理学への批判
  〔A. ベーフテレフの反射学〕
   ①ベーフテレフの反射学の特徴
   ②上からの政治的・イデオロギー的批判
   ③歴史的な見直しへの言及
  〔B. コルニーロフの反応学〕
   ①コルニーロフの反応学の特徴
   ②上からの政治的・イデオロギー的批判

 【ヴィゴーツキーの補助線…その1】
 (1)『教育心理学』に見られる高次神経活動の学説への依拠
 (2)「反射学的研究と心理学的研究の方法論」・「行動の心理学の問題としての意識」
  ①反射学批判
  ②意識の生理学的メカニズム
  ③意識のはたらき
  ④意識の研究方法
  ⑤反射理論の枠内での意識研究の限界

  第3節 実践的な応用心理学への要請と断罪
  (1)精神分析への要請と断罪
   ①政府の支援の下での精神分析の普及
   ②精神分析とマルクス主義の接合の試み
    ルーリヤの場合/ブィホーフスキーの場合
   ③精神分析への政治的断罪

 【ヴィゴーツキーの補助線…その2】
 (1)精神分析への批判
 (2)新しい心理学の方法論
  ①心理学的唯物論
  ②帰納-分析的方法
  ③「自然科学としての心理学」という表現の真意
  ④真理の基準としての実践

  (2)児童学の展開と断罪
   ①政府の率先による児童学の展開
   ②第1回全ソ連邦児童学大会
   ③児童学の終わりの始まり――共産党中央委員会の決定「教育人民委員部系統の児童学的歪曲について」
    「児童学の性格の問題」について/「児童学の具体的な方法の問題」について/「36決定」の意味
   ④児童学の残したもの
    心理発達の進化-段階的性格の追究/自らを取り巻く環境の中で能動的に活動する存在としての人間の承認/心理発達過程の文化-歴史的被制約性の承認/学校における教授-学習過程との関係での子どもの発達の解明

 【ヴィゴーツキーの補助線…その3】
 (1)「文化的(文化-歴史的)発達」ということの意味
  ①「原始性」の概念
  ②記号の媒介による高次な記憶機能の発達
  ③原始性の存在の発達的意味
 (2)複合的思考から概念的思考へ――自覚性と随意性の発達
  ①複合的思考
  ②概念的思考
 (3)人格の発達理論としての文化-歴史的理論
  ①言葉の意味における意義と「意味」
  ②〈主観的な「意味」―間主観的な意味―客観的な意義〉の系列
  ③意味の源泉としての発達の社会的状況
  ④言語的思考を意識の発達の中心に置くことの意義

  (3)精神工学の展開と断罪
   ①国家的な労働の科学化をめざす運動と精神工学への要請
   ②精神工学の一掃とシュピリレーインへの弾圧
   ③精神工学の残したもの
   ④大祖国戦争下での応用心理学全体の再編

 【ヴィゴーツキーの補助線…その4】
 (1)報告「総合技術教育の問題との関連での子どもの発達における実践的活動と思考」
 (2)精神工学と児童学の関係についてのヴィゴーツキーの考え

 第6章 同時代の日本での受けとめ
  (1)論文・評論
   ①齋藤茂三郎の「ボルシェビズムの心理(上)――どんな人が過激派になるか」
   ②上野陽一の「條件反射と兒童研究」
   ③增田幸一の「勞農ロシアに於ける勞働科学的殊に精神工學的研究」
    モスクワの中央労働研究所の組織の概要/コルニーロフの実験例/シュピリレーインの実験例
  (2)文献紹介
   ①精神工学の文献
    ルップの論文/シュピールラインの論文/リップマンの反論
   ②弁証法的唯物論(マルクス主義)と心理学についての文献
    ユリネツの論文/ルリアの論文/コルニロフの論文
   ③児童学の文献
    ヴィゴツキーの論文/ブロンスキーの論文/バイリンソンの論文/パイキンの論文
   ④その他の文献
    ルリアの論文/ネチャエフの論文/ブロンスキーの論文/クラフコフ・セメノフスカヤとセメノフスカヤの論文/クレシュチョフの論文

第Ⅲ部 ヴィゴーツキー理論と現代をつなぐ
 第7章 ヴィゴーツキー理論と身体運動意味論――内言の意味と身体との接点
  第1節 問題の所在
  (1)心理学的唯物論
  (2)言葉の身体性の問題
  (3)「内言の意味」の身体性の問題
  第2節 「遠心性コピー」-「運動の抑制」-「イメージの発生」
  (1)脳の計算モデル
  (2)「遠心性コピー」は運動が抑制されるとき「心的イメージ」になる
  (3)イメージは「仮想的身体運動」である
  第3節 身体運動意味論の光の下で
  (1)身体運動意味論とは
  (2)内言の意味の実体はイメージである
   ①同時的・全体的な存在としての内言の意味
   ②想像のイメージとしての内言の意味
  (3)想像(イメージ)論を媒介に身体論と意味論が結合する


[著者紹介]※初版刊行時のものです
中村和夫(なかむら・かずお)
1948年 東京に生まれる
1967年 東京都立両国高等学校卒業
1971年 東京大学教育学部教育心理学科卒業
1976年 東京大学大学院教育学研究科(教育心理学専攻)博士課程中退
愛媛大学、東京水産大学(現東京海洋大学)、神戸大学での勤務を経て、現在は京都橘大学教授。専門は発達心理学、教育心理学。1998年、博士(教育学、東京都立大学)。2005年、東京海洋大学名誉教授。

【主な著書】
『認識・感情・人格――精神発達におけるその統一的理解』(三和書房、1983年)
『子育ての目は発達の芽――親と子のこころを結ぶ心理学』(萌文社、1992年)
『ヴィゴーツキーの発達論――文化-歴史的理論の形成と展開』(東京大学出版会、1998年)
『ヴィゴーツキー心理学 完全読本――「最近接発達の領域」と「内言」の概念を読み解く』(新読書社、2004年)
『ヴィゴーツキーに学ぶ 子どもの想像と人格の発達』(福村出版、2010年)
『ヴィゴーツキー理論の神髄――なぜ文化-歴史的理論なのか』(福村出版、2014年)

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内容説明

革命という大転換期にあり、また基礎科学に重きをおいたロシア・ソビエト時代の心理学の動向を、同時代に活躍した天才的な心理学者の理論と対比することで浮き彫りにする。

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