ホーム > アピアランス〈外見〉問題介入への認知行動療法

アピアランス〈外見〉問題介入への認知行動療法

段階的ケアの枠組みを用いた心理社会的介入マニュアル

アピアランス〈外見〉問題介入への認知行動療法

先天的要因や疾患・外傷による外見の不安や困難に、段階的ケアによってアプローチする包括的ケアマニュアル。

著者 アレックス・クラーク
アンドリュー・R・トンプソン
エリザベス・ジェンキンソン
ニコラ・ラムゼイ
ロブ・ニューウェル
原田 輝一
真覚 健
ジャンル 心理 > 臨床心理
心理 > 医療・看護
医療 > 医療
教科書 > 参考図書 > 心理
出版年月日 2018/12/15
ISBN 9784571240720
判型・ページ数 A5・452ページ
定価 本体7,000円+税
 

目次

第1章 背景、臨床的問題、共通した訴え、治療における諸注意
 身体的要因および治療に関連した要因
 社会文化的要因
 心理学的要因と過程
 身体イメージ障害
 臨床における諸問題と症例提示
 紹介症例に見られる共通した特徴
  状態(症状)の可視性(見えやすさ)/羞恥/可視的差異の意味付け/喪失の経験/生理学的反応/文化/性別/年齢/治療への期待/身体的変化と心理学的アウトカムとの関係/修繕による解決
 治療における諸注意

第2章 心理社会的介入への段階的ケア・アプローチ
 PLISSITモデル
 レベル1:許諾/レベル2:基本的情報/レベル3:個別アドバイス/レベル4:集中的治療

第3章 モデルと枠組み――外見に関連した苦悩に対処するための概念的アプローチを拡大する
 治療的アプローチ選択の説明
 行動療法アプローチ――恐怖回避と社会的スキル・トレーニング
 エビデンス・ベースの構築
 認知療法アプローチ――外見への不安と社会恐怖との比較
  安全行動の使用/予期過程と事後過程/外見への不安における思い込みとスキーマの役割
 まとめ
 認知行動療法モデルの抽出――変形をきたす状態への適応に寄与する要因と過程を明らかにする
  変形をきたす状態に対する適応――ARCでの作業枠組み/変形をきたす状態に適応するためのARC枠組み/背景要因/介在している認知過程/結果(アウトカム)
 ARC研究プログラムによる知見
  諸研究/知見のまとめ/研究プログラムから得られた重要事項/介入療法計画における諸知見の意味
 まとめ

第4章 臨床アセスメント
 問題を引き出す
 まとめ
 動機づけと自己効力感
 変化へのレディネス
 測定ツール
  心理学的構成概念の包括的測定(ARC研究で使用)/外見に特化した心理学的構成概念の測定法/身体イメージの測定/状態のタイプに特化した心理学的構成概念の測定法/身体醜形障害(BDD)/核心的な臨床データセット
 出来事、思考、感情の頻度に関する定期的な主観的測定
 目標設定
 SMART
 外見に関連した諸問題への治療課題
  生物心理社会的モデルの導入/治療への「積極的な取り組み」

第5章 社会的スキルとコーピング方略
 凝視、質問、コメント、匿名性の喪失
 外見をうまく装うこと
 可視的差異に対するポジティブな対処方略を発達させる
  姿勢、微笑み、アイコンタクト
 話すスキルを向上させる
  会話の切り出し方を学ぶ/外見に関する質問に答える
 凝視への対処
 実践に取り組む
 人との出会いの中でイニシアチブを取る
 怒りへの対処とアサーティブネスの熟達
  怒り
 性的関係への対処
 変形をきたした状態をパートナーに開示する
 まとめ

第6章 認知行動療法
 認知行動療法の技法
 ソクラテス式問答法
 ネガティブな自動思考を引き出す
  役に立たない信念についての記録用書式/不安に関連したネガティブな自動思考スタイル/3列コラム法/円グラフ
 安全行動の操作
  不安への対処技術/ターゲット、ツール、トラブルシュート、テスト
 費用対効果の分析
 外見に関連した自己非難と羞恥に対処するための技法
 自己非難の機能的分析
  自己非難の影響力を明らかにする
 まとめ

第7章 治療計画とセッション・ガイド
 はじめに
 レベル1での作業――[症例1]
 レベル2での作業――[症例2]
 レベル3での作業――[症例3]
 ・セッション1
  概略
 Face ITを用いたレベル3での作業
 CBTを用いたレベル4での作業
  治療計画とセッション・ガイド
 臨床例
 [症例4]
 ・セッション1
 ・セッション2
  データの振り返り/課題の設定/定式化の修正再表示/患者の理解を導き出す
 ・セッション3
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/彼女の顔に対する質問への対処法の導入/自己に焦点を当てた注意の役割/TTTT/ホームワーク
 ・セッション4
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/信念の再帰属/行動実験の計画/ホームワーク
 ・セッション5
  ホームワークの振り返り/課題の設定/注意力に関するトレーニングのための方略/個人的なコーピング方法の発達/ホームワーク
 ・セッション6
  ホームワークの振り返り/目立ちやすさと不安の測定/信念の再帰属/行動実験からのフィードバック/個人的なコーピング方法の発達/ホームワーク
 ・セッション7
  ホームワークの振り返り/課題の設定/スキーマに焦点を当てた再帰属/終了への準備/ホームワーク
 ・セッション8
  ホームワークの振り返り/スキーマに焦点を当てた再帰属/終了計画/ホームワーク
 ・セッション9
  ホームワークの振り返り/課題/結果
 [症例5]
 ・セッション1
  まとめ
 ・セッション2
  データの振り返り/社会的比較のプロセスの導入/定式化の修正再表示/患者の理解を引き出す/思いやりのある思考の導入
 ・セッション3
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/TTTT/NATsの導入
 ・セッション4
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/信念の再帰属/行動実験の計画
 ・セッション5
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定
 ・セッション6
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定と進歩の振り返り/再帰属と信念/行動実験(開示)からのフィードバック/ホームワーク
 ・セッション7~9
  ホームワークの振り返りと最終の再定式化の構築/課題の設定
 ・セッション10
  結果
 [症例6]
 ・セッション1
  まとめ
 ・セッション2
  データの振り返り/目立ちやすさと不安のグラフ/課題の設定/社会的比較のプロセスの導入/自己効力感/安全行動/定式化の修正再表示/ホームワーク
 ・セッション3
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/TTTT/不安感への対処/ネガティブな自動思考の導入/ホームワーク
 ・セッション4
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/行動実験の計画/ホームワーク
 ・セッション5
  ホームワークの振り返り/課題の設定/ホームワーク
 ・セッション6
  ホームワークの振り返り/課題の設定/目立ちやすさと不安の測定/行動実験の計画/TTTT――バストについて何か言われたときに返す反応を練習する/ホームワーク
 ・セッション7
  ホームワークの振り返り/課題の設定/再帰属への焦点/終了のための準備/ホームワーク
 ・セッション8~10
 ・セッション11
  ホームワーク/課題/結果
 [症例7]
 ・セッション1
  まとめ
 ・セッション2
  データの振り返り/ホームワークの計画/治療における仲間/ホームワーク
 ・セッション3
  ホームワークの振り返りと再定式化/ホームワーク
 ・セッション4
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/ホームワークの設定
 ・セッション5
  ホームワークの振り返り/課題の設定/ホームワーク
 ・セッション6
  ホームワークの振り返りと再定式化/課題の設定/最終の評価スケールと結果
 ・セッション7・8
  課題の設定
 ・セッション9
  最終の評価スケールと結果/まとめとフィードバック/結果
 変化の長期的な結果と維持
  完全な維持/部分的維持/後退や不十分な適応への対処/後退と失敗
 社会的支援と治療におけるパートナー
 まとめ

第8章 小児サービスから成人サービスへの円滑な移行
 はじめに
 移行期の諸問題について
 青年の視点からみる「移行」
 親の視点からみる「移行」
 医療専門職の視点からみる「移行」
 移行期のケアを改善するためのガイダンス
 外見の不安を持つ青年へのケアに関する諸問題
 青年にとっての外見の顕出性
 支援を求めたり受け入れたりすることへの抵抗感
 青年の可視的差異への適応を促進できる要因
 恋愛問題
 可視的差異を持つ人々にとっての、機会としての移行期
 結論

第9章 美容手術に対する心理学的評価
 はじめに
 美容手術は有効か
 NHSにおける手術の紹介
 美容外科医による心理学的スクリーニング
 NICEガイドライン
 紹介の進め方
 心理学的評価から外科医は何を求めるのか
 心理学的評価から患者は何を求めるのか
 心理学的評価の枠組み
 症例提示
 紹介においてよくある問題
  総合医との連携/美容治療に関する医療専門職の知識
 まとめ

第10章 サービス提供のモデル
 非専門職による支援
 専門職によるサービス
  アウトルックOutlook
 病院ベースでのサービス
  ロイヤル・フリー病院(ロンドン)
 心理社会的サービスの利用
 メンタルヘルス・サービスの利用
 段階的ケアにおいてサービスモデルを計画する

付 録
 変形をきたす状態への心理学的適応に関連する要因と過程
 研究プログラムの背景と理論的根拠
  身体的要因と治療に関連した要因/社会文化的要因/心理学的要因と過程/理論的基礎
 研究過程における計画検討
  複数の方法を混合して使用する/本研究における審議会の役割
 [研究1]変形をきたす状態への適応に関係する心理学的要因と過程
   方法/材料/測定/結果(アウトカム)
  手順
   研究管理/募集に関する計画
  結果
   参加者/内的整合性/変数間の相関/人口構成上の因子/可視性と不安を感じる部位/属性要因/社会認知的要因/外見に特化した認知的要因/結果/変数の回帰分析/クリニックに特異的なデータ
  考察
   適応における多変量的性質/外見に関連した認知の役割/本研究の限界/結果が意味すること
 [研究2]「ポジティブにであれ、ネガティブにであれ、外見が人生にどう影響を与えているかについて、何かコメントはありますか」という質問への自由回答の定性的分析
   理論的解釈と知見/考察
 [研究3]変形をきたす状態への適応の長期経過
   理論的解釈と結果/考察
 [研究4]長期経過からみた可視的差異を持つ人々の経験と適応――定性的研究
 後続研究(5~12)
 [研究5]可視的差異にポジティブに適応できていると感じている人々の経験に関する定性的研究
 [研究6]民族的マイノリティ・コミュニティの人々における、変形についての見解に関するフォーカス・グループ研究
 [研究7]醜形をきたす皮膚状態の白斑症を持つ在英南アジア系住民の経験に関する定性的研究
 [研究8]外見への不安、敵意、社会的状況
 [研究9]外見の不安が性的行為に与える影響力を測定するスケールの開発
 [研究10]義肢装具を使用している女性――その経験と適応
 [研究11]関節リウマチという疾患の文脈において、外見は問題となるか
 [研究12]可視的差異を有する患者との診療――総合医が持つ思い込み、意思決定プロセス、トレーニングの必要性
 研究プログラムの結果の全体的統合
  苦悩と適応の概略/ポジティブな適応とリジリエンス/外見に関連した苦悩の影響力/外見への不安の多面的性質/適応の動的性質/年齢、性別、民族性の影響/変形への適応のための枠組み
 結論と今後の道程

資 料
 測定スケール
 支援組織に関する情報


[著者紹介]
ARC(Appearance Research Collaboration)
 アピアランス〈外見〉問題を主要専門としている、イギリスの研究者と臨床家の共同研究チーム

アレックス・クラーク(Alex Clarke)
 ロイヤル・フリー・ロンドン・NHS 財団法人(Royal Free London NHS Foundation Trust)顧問臨床心理士、ウェスト・イングランド大学アピアランス研究センター(Centre for Appearance Research, University of the West of England)客員教授

アンドリュー・R・トンプソン(Andrew R. Thompson)
 シェフィールド大学心理学部(The University of Sheffield, Department of Psychology)准教授

エリザベス・ジェンキンソン(Elizabeth Jenkinson)
 ウェスト・イングランド大学健康心理学講師

ニコラ・ラムゼイ(Nichola Rumsey)
 ウェスト・イングランド大学名誉教授、同大学健康心理学前教授、アピアランス研究センター前主任

ロブ・ニューウェル(Rob Newell)
 ブラッドフォード大学保健学部看護学名誉教授

[訳者紹介]※初版刊行時のものです
原田輝一(はらだ・てるいち)
医療法人生登会/社会福祉法人生登福祉会医師。急性期~回復期~社会適応期にわたる長期罹患患者において、一貫した心理社会的支援の重要性を認識してきた(特に重症熱傷領域において)。現在は医療福祉連携の全般で、最新の学際的知見と技術の導入を目指している。
[著書(熱傷関連)]『フェニックスのように 熱傷体験記』(共著、熱傷フェニックスの会、2001年)、ジェームズ・パートリッジ著『もっと出会いを素晴らしく――チェンジング・フェイスによる外見問題の克服』(翻訳、春恒社、2013年)、NHKスペシャル取材班著『原爆死の真実――きのこ雲の下で起きていたこと』(学術助言、岩波書店、2017年)
[関連メディア(熱傷関連)]DVD『NHKスペシャル カラーでみる太平洋戦争~3年8か月・日本人の記録~』(分担監修、NHKエンタープライズ、2016年)、DVD『NHKスペシャル きのこ雲の下で何が起きていたのか』(学術助言、NHKエンタープライズ、2016年)、テレビ放送『NHKスペシャル 原爆死~ヒロシマ72年目の真実~』(学術助言、NHK、2017年放送)

真覚 健(まさめ・けん)
宮城大学看護学群教授。専門領域は認知心理学。東北大学文学部助手、同講師(学生相談所専任カウンセラー)、東京女子大学文理学部助教授、宮城大学看護学部助教授、同教授を経て現職。類似性など顔についての認知心理学的研究を行う。口唇口蓋裂者の表情表出とそこから得られる印象についての研究や、特殊メイクを用いた実験から、可視的差異のある顔での笑顔表出の効果についての研究を行っている。
[著書]『感情心理学パースペクティブズ――感情の豊かな世界』(共著、北大路書房、2005年)、『新・知性と感性の心理――認知心理学最前線』(共著、福村出版、2014年)、『新 こころへの挑戦――心理学ゼミナール』(共著、福村出版、2015年)など

共同著作
[翻訳]ニコラ・ラムゼイ、ダイアナ・ハーコート著『アピアランス〈外見〉の心理学――可視的差異に対する心理社会的理解とケア』福村出版、2017年
[編集]『アピアランス〈外見〉問題と包括的ケア構築の試み――医療福祉連携と心理学領域とのコラボレーション』福村出版、2018年

このページのトップへ

内容説明

先天的要因や疾患・外傷により外見に不安や困難を抱える人々のポジティブな適応を目指し、医学・心理学の両面から支援するための段階的ケアの方法を提示する介入マニュアル。

このページのトップへ

関連書籍

アピアランス〈外見〉問題と包括的ケア構築の試み

アピアランス〈外見〉問題と包括的ケア構築の試み

医学・心理学の両面から基礎と実践を解説

著者:原田 輝一
真覚 健
 
アピアランス〈外見〉の心理学

アピアランス〈外見〉の心理学

外見に問題を抱える人々への介入・支援方法

 
 

このページのトップへ