
目次
1 「困難を有する子ども・若者」支援の場としての学校
(1)「困難を有する子ども・若者」支援のプラットフォーム
(2)日本における「インクルーシブ教育」
(3)学校における「インクルージョン」とその対象
(4)「学校からの排除」という問題
(5)学校教育の「非連続」
(6)セーフティネットとしての後期中等教育機関
(7)セーフティネットとしての高校における中退問題
2 「高校全入」と高校が担う役割の変化
(1)「適格者主義」から「ユニバーサル化」へ
(2)生徒の多様化に対応した「新タイプの高校」
(3)個別の教育的ニーズに対応する高校へ
(4)中途退学に対する教員の意識
(5)“三重に引き裂かれている”中等教育の課題
3 セーフティネットとしての通信制高校への期待
(1)セーフティネットとしての通信制高校
(2)通信制高校の教育制度
(3)高校における「通信教育」の設置目的と方法上の限界
(4)公立高校と私立高校における異なる課題
4 高校における「学習」と「教育」
(1)「学びの放棄」という課題
(2)新たな学力観と高校教育の目的
(3)社会への移行支援としての高校教育
(4)学習支援に関する先行研究
第I部 研究の目的と方法
第1章 問題と目的――なぜ「学習支援」なのか
1 本書の目的
(1)高校中退に関する統計調査の課題
(2)通信制高校の「多様性」
(3)通信制高校における教育の実態
(4)通信制高校における生徒の学習支援ニーズ
(5)関係構築から学習支援プロセスに至る包括的検討
2 本書のリサーチクエスチョン
第2章 研究方法――「学校臨床学」的研究の方法論
1 本章の目的
2 臨床とは何か
3 近代科学的研究と臨床的研究のパラダイムの相違
4 トライアンギュレーション――方法を限定しないという方法
(1)従来のエスノグラフィー
(2)臨床的エスノグラフィー
5 方法論のまとめ
第II部 データから見る高校の現状
第3章 高校中退に関する統計データの再検討
1 文部科学省および東京都データによる課程別高校生在籍状況推移把握
(1)問題設定
(2)結果と分析
(3)まとめ
2 単位制高校における生徒の在籍状況推移把握の試み
(1)問題設定
(2)結果と分析
(3)まとめ
3 通信制課程の設置数・生徒数および在籍状況の推移
(1)問題設定と調査の方法
(2)通信制高校設置数と生徒数の推移
(3)通信制高校における生徒の卒業・中退状況
(4)まとめ
第4章 通信制高校の類型と機能
1 問題設定――通信制高校の「多様性」とはどのようなものか
2 調査方法
3 通信制高校の登校形態による類型
(1)従来型
(2)集中型
(3)ダブルスクール型
(4)通学型
4 まとめ
第III部 通信制高校における学習困難と支援
第5章 公立通信制高校における教育の特徴と課題
1 問題設定――生徒の困難と教員による支援の難しさ
2 調査の方法と対象
(1)調査方法
(2)調査対象校の概要
3 結果
(1)A高校における教員-生徒関係の特徴
(2)学習支援につながりにくい生徒の実態
(3)A高校における対人関係の特徴――「希薄さ」のメリット
(4)卒業に至った生徒に対して行われた支援
(5)生徒支援の充実によってもたらされたジレンマ
4 まとめと考察――「包摂による排除」の先にあるセーフティネットとしての「従来型」通信制高校
(1)結果のまとめ
(2)支援を受けた生徒の実態と在籍年限の問題
(3)「関係の希薄さ」のメリット――非排除/非包摂という最後の砦
(4)支援が難しい生徒の実態
(5)生徒の実態把握と個別対応の重要性
第6章 公立通信制高校生の学習困難と支援
1 公立通信制高校生の学習困難
(1)問題設定
(2)調査の方法と対象
(3)結果
(4)まとめ
2 公立通信制高校におけるボランティアによる学習支援
(1)問題設定
(2)調査の方法と対象
(3)結果
(4)まとめ
第7章 私立通信制高校における学習支援
1 問題設定――「学習支援室」からは見えない生徒への着目
2 調査の方法と対象
(1)調査方法
(2)調査対象校の概要
(3)調査実施者の概要
3 事例にみる学習支援過程
(1)事例の背景
(2)トラブル発生、空白期間が生じる
(3)学習支援を求めるようになる
(4)自習が可能になる
4 まとめ
(1)事例の経過
(2)B高校における指導
(3)B高校における「ケア」
(4)「3年で高校を卒業できる」ことの長短
終章 総合考察
1 結果と考察
(1)学校教育の「非連続」の把握に関する課題
(2)通信制高校の類型
(3)公立通信制高校における教育の特徴
(4)通信制高校生の学習困難と支援
(5)通信制高校における学習支援のプロセス
2 困難を有する子ども・若者を受け入れる高校における教育の展望
(1)通信制高校教育の教育理念
(2)困難を有する子ども・若者を受け入れる公立通信制高校における教育の展望
(3)〈学習ケア〉のあり方
3 通信制高校が抱える課題と研究の展望
(1)ミスマッチの解消
(2)通信制高校の実態把握に際して求められる視点
4 本研究の課題
[著者紹介]※初版刊行時のものです
土岐玲奈(とき・れいな)
東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科修了。博士(教育学)。現在、上智大学共同研究員、埼玉大学他非常勤講師。専門は、教育相談、学校臨床学。研究テーマは、通信制高校の教育実態と、困難を抱える子ども・若者に対する学習支援、通信制高校において教員が直面している困難。
主な著書に、『続・移行支援としての高校教育』(分担執筆、福村出版、2016年)、『通信制高校のすべて』(分担執筆、彩流社、2017年)。主な論文に、「公立通信制高校における包括的生徒支援」『日本通信教育学会 研究論集』(2018年)がある。
2017年6月より2018年3月まで、文部科学省「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」の委員を務めた。




