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サブカルチャーの心理学2  新刊

「趣味」と「遊び」の心理学研究

サブカルチャーの心理学2

陰謀論、アニメ・マンガオタク、百合、オーディオマニア、ギャル、女子力、鉄道などを心理学的に分析する。

著者 山岡 重行
サブカルチャー心理学研究会
ジャンル 心理 > 社会心理
出版年月日 2023/05/01
ISBN 9784571250637
判型・ページ数 A5・272ページ
定価 本体2,700円+税
 

目次

Ⅰ アニメ・マンガオタク
 1章 妄想・恋愛・ダークトライアド
  1 妄想=白昼夢
  2 ダークトライアドとオタク
  3 ダークトライアドとの相関をもとにオタクの恋愛に関する仮説を導き出す
  4 オタク妄想と短期配偶戦略の関連の実証研究
  5 結果と考察
  6 総合考察
  7 知見のまとめと心理学研究にとっての意義
 2章 オタク隠しの心理
  1 はじめに
  2 オタクステレオタイプとメタステレオタイプ
  3 オタクと自己開示
  4 仮説の導入
  5 自己呈示
  6 調 査
  7 結 果
  8 考 察
  9 まとめ
 3章 百合──少女性への憧憬
  1 百合者
  2 少女規範
  3 「エス」から「百合」へ
  4 研究:百合者は百合に何を求めるのか
  5 まとめ
 column 1 ロックとカウンターカルチャー

Ⅱ いろいろなサブカルチャー
 4章 オーディオマニアは何を聴いているか
  1 オーディオマニアとは誰か
  2 オーディオマニアの歴史
  3 オーディオマニアの行動
  4 オーディオのアポリア(難問)
  5 おわりに
 5章 ギャル──「女っぽさ」の反乱
  1 ギャルの登場
  2 ギャル雑誌の創刊とギャル文化の顕在化
  3 調査1:ギャルの価値観
  4 調査2:ギャルが求める女性像
  5 まとめ:「社会が求める女らしさ」への反抗としてのギャル
 6章 女子力──「女らしさ」の逆襲
  1 女子力!
  2 調査1:オタクは女子力が低いのか?
  3 調査2:ギャルは女子力が低いのか?
  4 女子力のオプション化
  5 総合考察
  6 まとめ
 7章 データに見る鉄道オタクの実像
  1 本章の概要
  2 研 究
  3 展 望
 8章 オタクとキャリア
  1 問題と目的
  2 研究1:オタク自認が職業観に与える影響
  3 研究2:オタク自認者・非自認者の共感力がレジリエンスに与える影響
  4 考 察
  5 まとめ
 column 2 ロックと冷戦の終結

Ⅲ 陰謀論の心理学
 9章 陰謀論の本質──その心理・文化・歴史
  1 現代社会に浸透する陰謀論
  2 すべてはつながっている
  3 邪悪な意図の存在
  4 カウンターカルチャーとしての陰謀論──オカルト、疑似科学
  5 陰謀論のギミックとしてのユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ
  6 陰謀論信念の心理メカニズム
  7 陰謀論への対処
 10章 陰謀論──ナラティブの拡散と自己学習型マインド・コントロール
  1 “Q”のゲーム
  2 「陰謀論」ナラティブの誕生
  3 なぜ人は「陰謀論」に魅了されるのか?
  4 孤立する陰謀論者
  5 陰謀論情報の拡散
  6 閉じた情報空間:エコーチェンバーとフィルターバブル
  7 陰謀論の過激化──集団極性化現象
  8 自己学習型マインド・コントロール
  9 予言が外れたあとで
  10 そして“Q”
 11章 陰謀論とマインド・コントロール
  1 陰謀論者の過激な行動
  2 陰謀論とは
  3 陰謀論の構造
  4 破壊的カルトと陰謀論のナラティブ
  5 陰謀論を信じる背景的な心理
  6 陰謀論者がビリーフ固執に用いる6論理のマインド・コントロール
  7 まとめ──陰謀論とマインド・コントロール


[著者紹介]※初版刊行時のものです
山岡重行(やまおか・しげゆき)
聖徳大学心理・福祉学部心理学科
博士(心理学)
「ロックが社会に与えた影響」は個人的な研究テーマの一つです。今回コラムを2つ書きました。冷戦終結と旧共産圏のロックのことなど書きたいことはたくさんありますが、機会を改めて書いてみたいです。
1950年代のアメリカでも1960年代の日本でも1970年代のイギリスでも、社会の主流文化はロックやパンクを否定しようとしました。旧共産圏ではロックは自由の象徴となり当局から否定されました。軍事政権が支配する現在のミャンマーでも活動を続けるパンクバンドが存在し、それを支援する日本のインディーズレーベルが存在します。「世の中はロックによって革命が起こるほど単純ではない」これはローリング・ストーンズのミック・ジャガーの言葉です。しかしコラムで書いたように、ロックは人々の意識を変革し社会を変革することができるのです。
俺はまだロックを信じている。

杉浦義典(すぎうら・よしのり)
広島大学大学院人間社会科学研究科
博士(教育学)
最近「あべこべ構文」という言葉をバズらせることを画策中。例えば、「社会の厳しさを教えていただいた」は、本当は「アイツは最低最悪!」の意味だったりという社会人特有の用語法です。「あべこべ構文」という観点で見ると、オタクを取り巻く言説も少し違って見えてきます。「オタクはコミュ力がない」というのは、スクールカーストやマウンティングに必死な人からの、「自分たちはこんなに苦労しているのに」という妬みかもしれません。「オタクは恋愛が苦手」というのも、ファッション業界にお金を落とさないことへの逆恨みかもしれません。

田島綾乃(たじま・あやの)
会社員
修士(社会学) 関西学院大学大学院社会学研究科博士課程前期課程修了
オタクである自身の経験や、オタク仲間の行動から、オタクの趣味隠しに興味を持ち、大学、大学院と研究を行った。現在はアカデミアを離れ、一般企業で会社員として働く。主な論文は「〈リサーチノート〉オタクが抱くメタステレオタイプについて──インタビュー調査による探索的検討」(KG社会学批評、第10号、2021年)、「趣味を話さないオタクたち──趣味隠し行動の要因と方略の検討」(修士論文、未刊行、2022年)。

稲増一憲(いなます・かずのり)
関西学院大学社会学部社会学科
博士(社会心理学)
専門は社会心理学、メディア・コミュニケーション研究、世論研究。主な著書として『マスメディアとは何か──「影響力」の正体』(中央公論新社、2022年)、『政治を語るフレーム──乖離する有権者、政治家、メディア』(東京大学出版会、2015年)、『新版アクセス日本政治論』(共著、日本経済評論社、2011年)がある。指導する学部ゼミ生および修士課程大学院生の研究テーマについては、「来た球を打つ」を基本としている。

渡邊芳之(わたなべ・よしゆき)
帯広畜産大学人間科学研究部門
博士(心理学)
1962年新潟県上越市生まれ。1990年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、信州大学人文学部、北海道医療大学看護福祉学部を経て1999年より現職。性格、人格、個性などパーソナリティや個人差に関わる概念の心理学的用法やその歴史を研究テーマとし、『性格とはなんだったのか──心理学と日常概念』(新曜社、2010年)などの著書、論文で発表している。いっぽうで小学生時代よりレコードの収集、レコードを再生するためのオーディオ装置の改良に取り組み、2011年から2013年にかけてオーディオ専門誌「MJ無線と実験」に「直して使う古いオーディオ機器」の連載記事を執筆した。

岡田 努(おかだ・つとむ)
金沢大学人間社会学域・研究域
博士(心理学)
研究歴
1 京王帝都電鉄および小田急電鉄を中心とした関東私鉄の研究
2 大手およびローカル私鉄を中心とした車両の変遷
3 旧国鉄、JR各線の主に旧型車両の研究
4 除雪列車、専用線、ナロー軌道線などの研究
5 地域交通のありかた
6 鉄道と風景
7 鉄道趣味者の行動特性について心理学からのアプローチ 他

山田智之(やまだ・ともゆき)
上越教育大学教職大学院
博士(総合社会文化)
専門はキャリア教育学、キャリアデザイン学、キャリアカウンセリング。専門領域を中心に学校を取り巻く諸問題や学校経営上の課題の解決に向けて、心理学的な視点やサブカルチャー的な視点等から研究を行っている。著書に『教職員のための職場体験学習ハンドブック──先進的モデル「町田っ子の未来さがし」より』(実業之日本社、2006年)、『教職シリーズ7 進路指導』(分担執筆、培風館、2012年)などがある。

菊池 聡(きくち・さとる)
信州大学人文学部人文学科
修士(教育学)
主な著書に『なぜ疑似科学を信じるのか──思い込みが生みだすニセの科学』(化学同人、2012年)、『錯覚の科学〔改訂版〕』(放送大学教育振興会、2020年)、『より良い思考の技法──クリティカル・シンキングへの招待』(放送大学教育振興会、2023年)など。
「おたく」は、一流のクリティカル・シンカーである、というのが持論です。一つのことに限りなく情熱を注ぎ込む心と、冷静かつ客観的に(時には自虐的なほどに)情報を厳しく吟味していく心。このホット・ハートとクール・マインドを併せ持つことがクリティカル・シンキング(批判的思考)の要諦であり、それこそが理想的な「おたく」のあり方ではないでしょうか。その意味で、自分はまだまだだと思うことしきりです。

西田公昭(にしだ・きみあき)
立正大学心理学部対人・社会心理学科
博士(社会学)
カルチャーの関わりが深い心理現象に興味があります。特に集団や社会で信念が共有されることの意味を考えています。またそれを意図的に実現させようと駆使されるさまざまな形態のコミュニケーションにも関心があり、そんなことから、悪質商法、詐欺、テロリズム、犯罪などに用いられる「マインド・コントロール」に関わってしまっています。主著には、『マインド・コントロールとは何か』(紀伊國屋書店、1995年)、『「信じるこころ」の科学──マインド・コントロールとビリーフ・システムの社会心理学』(サイエンス社、1998年)、『だましの手口──知らないと損する心の法則』(PHP研究所、2009年)、『なぜ、人は操られ支配されるのか』(さくら舎、2019年)などがあります。

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内容説明

好評『サブカルチャーの心理学』の続編。陰謀論、アニメ・マンガオタク、百合、オーディオマニア、ギャル、女子力、鉄道、キャリアなど様々なテーマを心理学的に分析する。

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